alzmaのブログ

アルツハイマー型認知症になった母との暮らし

椿の花

庭の椿の赤い花が、その美しい形のままポトポトと落ちる頃、母はこっそりそれを拾い集め、いくつも隠し持っていた。

我が子が幼かった頃、スミレやタンポポ四葉のクローバーなど取ってきて、わたしにプレゼントしてくれた事を思い出す。

母はその花を拾って、かばんの中や引き出しの中にしまう。たまに、もう腐りかけていたり、アリが付いてたりするから、ちょっと迷惑ではある。

母が施設に数日泊まり、明日は帰宅なので、空気を入れ替えようかとカーテンを開けたら、その陰に五つの椿が茶色に干からびてしまっていた。

最近ではすっかり視力が落ちた母にとって、椿の花の美しさがどのように映ったのか、幼子のように心ときめいたのかと想像すると、愛おしくさえ思える。