alzmaのブログ

アルツハイマー型認知症になった母との暮らし

携帯電話

私の家に来た頃はまだ携帯電話を持っていた。

毎日、朝に夕に、母の携帯電話探しをした。ストラップを付けてみてもダメ。「ちょっと私の携帯、鳴らしてみて」としょっちゅう言われた。

母は電話を掛けるのが好きだった。でも今、掛けた事を忘れるから、同じ人に連続10回掛けてしまうことも。しかも同じ内容。身内だけじゃなく、友人にも掛けまくっていた。

携帯電話を私に隠されている、と疑った時期があった。私がお風呂に入るのを見計らって、台所の収納を探す。扉をパタンパタンパタンと鳴らして探していた。

朝の3時頃、布団の中から私に電話をしてきて、ここがどこなのかわからないと言ったことがあった。携帯電話がそばにある事で母は安心し、より所になっていたのかもしれない。

後にも先にも一度だけ、私のパートナーが、母が身内に電話している内容を聞いて、その電話の最中に怒鳴ったことがある。入浴していた私は風呂から飛び出た。多分、仕方なくここにいるという内容じゃないかと推測する。娘たちにいじめられているとか言って、よそで泣いた事を聞いていたから、我慢できなかったのではないかと思う。

母は「私はここの悪口を言ったことは一度もない」と言って泣いた。

電話の相手が私に電話をかけてきて、「いじめられているんじゃないかと心配だから迎えに行く」と言うので、それならと、母に代わった。すると「私はここがいいから迎えに来ないで」と答えていた。

その後パートナーは二度と怒らない。

そうこうして「ついに携帯が見つからないね」という事にしてみたら「もう年だし、ないなら仕方ないし」ということになった。携帯電話に振り回されない日々は平和だ。

時間がわからないと困ると思い、替わりに腕時計をプレゼントしてみたが、それこそ、立て続けに2つ無くし、当然安物ではあるし、予想はしていたが、あっさり無くされて、私はがっかりだった。